熱中症予防について

「熱中症」の予防

 では、熱中症はどのようにして予防すればよいのでしょう?

 上の分類をみてもわかるように、すべての熱中症は、汗で失われてしまった水分と塩分の不足によって起こります。

 人は普通に生活しても、呼吸や排尿によって1日に2リットル以上もの水分を失っています。夏場の暑いときにはこれに加えて、汗によっても水分が失われます。この量は、多いときには1時間に1リットルに及ぶこともあります。つまり、夏場はこまめな水分と塩分の補給は欠かせないということです。

「お茶」や「水」だけでは「熱けいれん」を起こすことも

 しかし、ここで注意が必要なのは、お茶や水などを飲んでいても、塩分を取らなければ「熱けいれん」や「熱射病」を起こすことがあるという点です。上の表にもあるとおり、「熱射病」は「熱中症」の中でももっとも深刻な場合です。この「熱けいれん」や「熱射病」を防ぐための塩分摂取の目安となる量は、水分の0.10.2%程度といわれていますが、いわゆるスポーツドリンクを利用するのがもっとも手軽な方法です。

 ただ、スポーツドリンクは塩分や糖分が若干高めのため、それを2倍程度に希釈して選手に摂取させるスポーツ指導者も少なからずいます。

 その他、麦茶と梅干の組み合わせもお勧めです。麦茶0.51リットルに対し、梅干1個で大体0.10.2%程度の塩分量になります。

 近年、熱中症についての報道が多くなされていますが、「水分補給」に比べ、「塩分補給」について触れられることは少ないようです。実際「水分補給はしっかり行っていたのに、病院では熱中症になった。」という話はよくあることで、これは「塩分不足」もひとつの原因と考えられます。

 

 まだまだ気温の高い日が続きます。子供たちが屋外で活動する場合には「水分補給」と「塩分補給」にご注意ください。

 熱中症とは、体温を調節する仕組みがうまく働かなくなるために起こる体の異常のことで、やはり7月、8月といった暑い盛りの発生が特に多いようです。

 

 このように「熱中症=炎天下の中、運動をしていて突然倒れる」といったイメージがありますが、実は熱中症が起きる原因はさまざまで、周囲の環境の“暑さ”だけとは限りません。つまり、熱い夏以外にも熱中症は起こり得ます。

 

 通常、人間の体は体温が約37℃以上になると、脳にある体温調節の中枢から皮膚へと、体温を下げるよう指令を出します。この仕組みには、

 ・汗をかいて体の表面の温度を下げる。

 ・血管を拡張し血行をよくして、血液から体外に熱を出す。

などがあります。しかし、激しい運動などによって、体内で多量の熱が発生している場合には、うまく体温を下げることができず、体内に“熱”がこもってしまうことがあるのです。つまり、室内で激しい運動をしたような場合でも、熱中症は起こりうるということになります。

 

 熱中症は症状の程度によって大きく3種類に分けられ、それぞれに次のような原因や症状、対処方法があります。

 2007811日(土)、この日は全国的に気温が上がり、各地で猛暑日となりました。NHKニュースでは、この猛暑で全国であわせて297人が熱中症とみられる症状で手当てを受けたことを報じています。

 

−以下、「NHKニュース」より−

 NHKが各地の放送局を通じてまとめたところによりますと、この猛暑で、11日、全国であわせて297人が熱中症とみられる症状で手当てを受けました。

 このうち、愛媛県の四国中央市では、三島川之江港に停泊中のタンカーのタンク内で清掃作業をしていた64歳の男性が重い熱中症になり、病院で手当てを受けています。また、秋田県の由利本荘市では、60代の男性が自宅裏の畑で倒れ、重い熱中症とみられる症状で病院で手当てを受けています。熱中症とみられる症状で手当てを受けているのは、全国であわせて297人となっています。

 一方、長崎市では、9日の原爆の日に行われた平和祈念式典の会場で後片づけをしていた57歳の男性が倒れて死亡しました。警察は、当初、男性は熱中症で死亡したとみていましたが、病院が詳しく調べたところ、死因は急性心不全だったことがわかりました。消防などは暑さが厳しいときにはこまめに水分を補給したり、外出する際は帽子をかぶったりするよう注意を呼びかけています。

 (引用終わり)

2007811日 「NHKニュース」報道画面

 気温の高い日が続く季節となりました。

 このような時期、熱中症の危険が高まります。熱中症は重症になると生命の危険にもつながります。安全に、楽しく運動ができるよう準備をお願いします。

種  類

原  因

症  状

補  足

対 処 方 法

熱疲労

・水分不足による脱水

・血管拡張に伴う血圧低下→脳への血流の不足

・頭痛、めまい、吐き気、脱力感

・顔色が青ざめる

・脈拍が速くなる

 

・涼しい場所に運んで衣服をゆるめ、水分や塩分を補給する

熱痙攣(けいれん)

・血液中の塩分濃度の低下

・ふくらはぎや腕、腹筋に痛みを伴う強い痙攣

汗をかいた時、水分のみを補給し、塩分を補給しない場合に起こりやすい。

・涼しい場所に運んで衣服をゆるめ、水分や塩分を補給する

熱射病

・水分不足と血中塩分濃度の低下

 →体温調節中枢の麻痺

・汗をかくことができず、暑くとも皮膚が乾燥

・外部から刺激に対する反応鈍化

・意識障害

 

意識障害がみられる場合

→すぐに救急車を手配し、病院へ

 搬送。医師の診察・処置を受ける。

―救急車が来るまでの処置―

・濡れタオルをあてる。

・水をかける。

・氷を当てる

 →できるだけ体温を下げる!

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